「大学・高専連携事業基金」事業(共同研究)研究実績

掲載日:2023年8月31日(2023年8月31日更新)

研究成果(令和4年度実施分)

No.研究概要研究代表者連携先研究期間

1

超音波振動を利用した溶接残留応力低減法に関する研究
-定量評価に向けた数値モデルの構築-


東京都立産業技術高等専門学校
機械システム工学コース・教授
栗田 勝実

東京都立産業技術大学院大学2022年4月
  ~
2023年3月

2

超音速噴流の流れ場の生じる渦の定量的計測の試みと特性の解析
東京都立産業技術高等専門学校
AIスマート工学コース・准教授
鈴木 宏昌
東京都立大学2022年4月
  ~
2024年3月
(継続中)

3

日常生活の歩行情報に基づく人間の行動把握に関する研究

東京都立産業技術高等専門学校情報通信工学コース・教授
山本 昇志
東京都立大学2022年4月
  ~
2023年3月
4共鳴トンネルダイオードの非線形等価回路を用いた大信号解析手法の検討東京都⽴産業技術⾼等専⾨学校電子情報工学コース准教授
浅川澄人
東京都立大学2021年4月
  ~
2023年3月

研究成果報告一覧(令和4年度実施分)

●超音波振動を利用した溶接残留応力低減法に関する研究-定量評価に向けた数値モデルの構築-
・実施期間:2022年4月~2023年3月
・研究代表者:
【教員】高専 機械システム工学コース 教授 栗田勝実
【学生】高専 機械工学コース 専攻科2年 廣瀬丈朗
・研究協力者
【教員】都立産業技術大学院大学 産業技術研究科 教授 越水重臣
【学生】都立産業技術大学院大学 産業技術研究科 2年 吉田多津雄

・研究代表者(学生)の育成状況(論文、学位申請状況等含む)

 本事業で実施した学生による学会発表は2件(オンライン開催1件)、国際会議は1件の合計3件である。日本語による口頭発表は、発表から質疑応答まで問題なく一人で熟し、研究室後輩の実験指導にも積極的に関わるようになるまで成長した。一方、国際会議(英語)となると勝手が異なり、口頭発表は無難に乗り越えられてもその質疑応答では専門用語が思い出せず返答に困るなど苦戦を強いられていた。しかし、セッション終了後に質問者へ個別に説明するなど、いい経験を積む機会を得た様子であった。
 学位申請は、’22年後半から準備に取り組み、’23年1月に特別研究Ⅱ発表会を実施、大学改革支援・学位授与機構から学士(工学)を取得した。また、本事業で実施した成果を「Reduction of welding residual stress using ultrasonic vibration load (Effects of material properties on reduction rate)」としてまとめ、日本機械学会Mechanical Engineering Journalに投稿した結果、採用となり8月15日付で公開された。

・学会発表(発表題目、著者、発表大会名、年月を記入)及び学会の参加状況(発表を伴わないものも含む)

1) 廣瀨丈朗, 栗田勝実, 青木 繁, 越水重臣, 吉田多津雄, 超音波振動を利用した溶接残留応力低減法―残留応力
低減率の評価と材料特性が及ぼす影響―, 山梨講演会 2022 予稿集, D11, 2022.
2) Takero Hirose, Katsumi Kurita, Shigeru Aoki, Shigeomi Koshimizu, Tatsuo Yoshida,Reduction Method of Welding Residual Stress using Ultrasonic Vibration Load – Effects of Material Properties on Reduction Rate for Welding Residual Stress -, International Conference on Materials & Processing 2022, [We-2D-2], 2022.
3) 廣瀨丈朗, 栗田勝実, 青木 繁, 越水重臣, 吉田多津雄, 超音波振動を利用した溶接残留応力低減法 (SS400 ブロック材に対する加振方向の影響), 日本機械学会北陸信越支部 日本機械学会北陸信越支部 2023 年合同講演会 講演予稿集, J016, 2023.

●超音速噴流の流れ場の生じる渦の定量的計測の試みと特性の解析
・実施期間:2022年4月~2024年3月(継続中のため 2022 年度末時点の状況を掲載)
・研究代表者:
【教員】高専 AIスマート工学コース 准教授 鈴木宏昌
【学生】高専 機械工学コース 専攻科1年 伊東 宏起
・研究協力者:
【教員】都立大学大学院 システムデザイン研究科機械システム工学域 准教授 小方聡
【学生】都立大学大学院 システムデザイン研究科機械システム工学域 博士前期課程1年 小森愛也

・研究代表者(学生)の育成状況(論文、学位申請状況等含む)

 概ね計画通りに進捗しており、研究に関しても順調であり来年に向け特に問題は生じておりません。
 本年度は、2年計画の1年目として、2年目に参加予定の「ASME-JSME-KSME 流体工学国際会議2023」に向け、11月に日本機械学会の第100期流体工学部門講演会にて講演発表を行った。研究代表者(学生)には、11月の学会までの間の研究計画を検討させ、計画的な作業ならびに適宜報告を意識させることで、自らが能動的に責任をもって考える能力の育成に取組みました。また、2年目の国際会議でのオーラルの発表の為、英語力の強化の一環として、自身の研究に関連する英語の参考論文の読解を進めることも実施しました。1月から2月にかけて、ASME-JSME-KSME 流体工学国際会議2023のアブストラクトを作成し、3月に無事採択されています。
 また、渦の計測システムについては内製しており、その過程で電気回路、制御プログラム、出力結果の解析プログラム等を製作する必要があり、機械工学の域を超えた複合的な知識も向上したものと考えています。

・学会発表(発表題目、著者、発表大会名、年月を記入)及び学会の参加状況(発表を伴わないものも含む)

  1. 超音速噴流の周辺を移動する渦の挙動,伊東 宏起,鈴木 宏昌,遠藤 正樹,榊原 洋子,日本機械学会第100
    期流体工学部門講演会,2022/11.

●日常生活の歩行情報に基づく人間の行動把握に関する研究
・実施期間:2022年4月~2023年3月
・研究代表者:
【教員】高専 情報通信工学コース 教授 山本 昇志
【学生】高専 創造工学専攻 専攻科2年 石井 遼太郎
・研究協力者:
【教員】都立大学大学院 システムデザイン研究科情報科学域 准教授 下川原 英理
    都立大学大学院 人間健康科学研究科作業療法学域 准教授 井上 薫
【学生】都立大学大学院 システムデザイン研究科情報科学域 博士前期課程1年 齋藤 太龍

・研究代表者(学生)の育成状況(論文、学位申請状況等含む)

 コロナ感染症の影響が未だ続く中、オンラインなどを併用しながら研究の開始ミーティングを実施し、研究実施内容と国際会議への発表計画を策定した。研究実施内容としては、足を中心とした筋力の低下に注目してまずは基本的な筋電計にて状況把握を行うことから開始した。把握についてはシステムデザイン学部の技術的支援に加え、健康福祉学部からも医療的アドバイスを頂き、足首の拘束の有無によって前脛骨筋の変化が顕著であることを確認した。よって、足首を拘束するか否かでの身体異常を検知することに目標を定めた。本検出に対して従来から取り組んでいる身体の姿勢変化に加え、足裏の圧力分布変化による計測手段を試みた。また、これら信号は時系列信号であるため、新たな機械学習アルゴリズムとしてLSTM-AE(Long short term memory with Auto encoder)を採用することとして、本アルゴリズムの理解及び実装には研究協力者の支援を受けて行った。
 後期には研究成果発表の目途がたったが、未だコロナ感染症の影響で海外渡航が制限されていたため、国内で行われる国際学会に研究成果を投稿することとした 。国内で行われる会議とはいえ、6ページに渡る英語原稿を仕上げることは代表学生にとって初めての経験であり、約1カ月の指導受け後、無事採択されることができた。また、発表は感染低下期間であったため、現地にての口頭発表が実現できた。多くの聴講者が日本人であったが、その中でも英語による発表と質疑応答は本代表学生にとって大変貴重な経験となった。発表後、学位申請・修了発表と順調に関門をクリアして無事修了することができた。本学生は引き続き北陸先端科学大学院大学で研究を継続することになっており、将来の日本を支えることができる研究技術者を送り出せたことは本研究支援の賜物である。

・学会発表(発表題目、著者、発表大会名、年月を記入)及び学会の参加状況(発表を伴わないものも含む)

[1]Ryotaro Ishii, Tairyu Saito, Kaoru Inoue, Eri Sato-Shimokawara, Shoji Yamamoto, “Pose-based factor analysis for muscle deterioration with LSTM-AE”, Proc. of Artificial Life and Robotics, GS15-5, pp.380-385 (Jan., 2023).

●共鳴トンネルダイオードの非線形等価回路を用いた大信号解析手法の検討
・実施期間:2021年4月~2023年3月
・研究代表者:
【教員】高専 ものづくり工学科 電子情報工学コース 准教授 浅川澄人
【学生】高専 創造工学専攻 電気電子工学コース 専攻科2年 伊藤平留
・研究協力者
【教員】都立大学大学院 システムデザイン研究科電子情報システム工学域 教授 須原理彦
【学生】都立大学大学院 システムデザイン研究科電子情報システム工学域 博士前期課程2年 臼井克紘
    都立大学大学院 システムデザイン研究科電子情報システム工学域 博士前期課程1年 牧野赳士    
    都立大学大学院 システムデザイン研究科電子情報システム工学域 博士前期課程1年 藤田大河 
    都立大学大学院 システムデザイン研究科電子情報システム工学域 博士前期課程1年 板津雄大

・研究代表者(学生)の育成状況(論文、学位申請状況等含む)

 研究代表者(学生)はこれまで、高速動作可能な化合物半導体デバイスである共鳴トンネルダイオード(RTD)の高周波特性を表現可能な等価回路の同定のために、RTD内の量子的に振る舞う電子輸送過程からモデル化された4つの量子輸送パラメータで記述されるアドミタンス関数と、67GHzまで測定されたSパラメータとを比較・評価する手法検討に注力してきた。量子輸送パラメータを明らかにすることは、RTDの等価回路パラメータを同定することと同義であり、本研究の重要な研究フェーズである。本学生は本テーマに関わる中で、粒子群最適化(PSO)を用いた評価プログラムの実装、Pythonを用いたRTD評価デバイスの寄生成分除去手法の習得・改良、を行なってきた。それらの成果を国際会議14th Topical Workshop on Heterostructure Microelectronics (TWHM2022)へ投稿し、査読を通過したためポスター発表を行った。国際会議後も精力的に研究し、RTDの非線形等価回路を用いた大信号解析に必要不可欠な量子輸送パラメータのバイアス電圧依存性を明らかにした。そしてこれらの研究成果をまとめ、特別研究審査会を経て、学士(工学)が授与された。

・学会発表(発表題目、著者、発表大会名、年月を記入)及び学会の参加状況(発表を伴わないものも含む)

・A progress report to clarify ultimate functionality of InGaAs/InAlAs triple-barrier resonant tunneling diode towards application for terahertz wireless communication, H.Ito, K.Asakawa, T.Makino, J.Wakayama, T.Fujita, Y.Itatsu, M.Suhara, I.Watanabe, K.Akahane, 14th Topical Workshop on Heterostructure Microelectronics (TWHM2022), August 2022.
・量子輸送パラメータの抽出に向けた三重障壁共鳴トンネルダイオードのアドミタンススペクトロスコピー、牧野赳士、須原理彦、浅川澄人、渡邊一世、赤羽浩一、電子デバイス研究会、2022年12月
・三重障壁共鳴トンネルダイオードのテラヘルツ帯動作モデル構築に向けたアドミタンススペクトロスコピー、牧野赳士、須原理彦、浅川澄人、渡邊一世、赤羽浩一、2023年電子情報通信学会総合大会、2023年3月

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